音楽大学は学費が高いというのは世の中の共通認識ですが、もし子どもが音楽大学に行きたいと言い出したらどれくらいの貯金と収入があれば行かせられるのでしょうか。音楽大学在学中にかかる様々な費用をまとめてみました。
このような人におすすめ
- 子どもを音楽大学に行かせたい人
- 子どもが音楽大学に行きたいと言っているが行かせられるか不安な人
なぜ音楽大学は学費が高いのか?
音楽大学の学費が高い理由は大きく2つあります。1つ目は個人レッスンが多いこと、2つ目は設備管理費がかかるためです。
音楽大学では、一般大学のように一人の教員が多人数を相手に授業を行うわけではなく、授業の核が個人レッスンです。ほとんどの専攻で一人60分程度の個人レッスンが週1回は行われています。その他に声楽やピアノなど副科のレッスンもあるので個人の授業が多いです。
また、音楽大学には個人で借りられる練習室やホールなど様々な設備があるので、設備の管理にもお金がかかるようです。
音楽大学在学中に掛かる費用
学費
音楽大学の学費は、国公立大学で約87万円/年、私立大学は約192万円/年かかります。学費の内訳は、大まかに以下の4つに分けられます。
- 入学金(30~60万円/年)
- 授業料(50万円/年)
- 施設維持管理費(50万円/年 ※私立のみ)
- 同窓会費/後援会費(数万円/年)
家賃
地方出身の人であれば、大学進学の際に一人暮らしの家賃もかかります。また、普通のアパートは楽器演奏不可の物件がほとんどです。24時間練習可能な音大生専用のマンションなどに入居する場合は、23区外でも1Kで”7万円/月”以上の家賃がかかります。
金銭的に厳しい場合は、寮がある音大を選んだり、通常のアパートを借りて練習の際は学校の練習室を活用するなどすれば安く抑えることができます。
その他
学費や家賃以外にも下記のようなお金がかかります。
- 楽器・楽譜(メンテナンス代)
- 衣装代
- コンクール参加料
- 伴奏や譜めくりの謝礼
- ホームレッスン費用
- 演奏会運営費
- 演奏会チケット料
- 家賃・光熱費
- 交際費
年間の総額はどれくらいかかる?
音楽大学に入学した際にかかる費用は年間でだいたい下記の通りとなります。
- 学費:200万円
- 家賃:84万円
- その他:120万円
どれくらいの収入があればいかせられる?
音楽大学に子どもを入学させるためには、年収が1,000万円程度では厳しいと言われています。学費だけなら何とかなると思いますが、楽譜代や衣装代などその他の出費も定期的にあります。
また、演奏技術を磨くためには楽器のメンテナンスも重要です。専攻にもよりますが、固定費として毎月かかると考えておいた方が安心です。
アルバイトをしてやりくりしている学生もいますが裕福な家庭も多いので、無理して入学すると友人たちとの価値観の違いを感じる可能性もあるので覚悟が必要です。
何が何でも音大に行きたい!方法はあるの?
経済的な問題で音楽大学をあきらめている人でも、国公立の芸術大学に入り国で貸与される奨学金を利用するという方法であれば無理なく音楽大学に通うことはできると思います。こちらは年間で200万円ほど借りることができます。
また、かなり狭き門にはなりますが殆どの私大に特待生制度があるので、学費免除で進学できる可能性もあります。こちらも調べてみることをおすすめします。
他にも、芸大の別科や、音大ディプロマコースなどでレッスンを主体としているコースや、短期大学や音楽専門学校など、比較的費用が安いところもあります。
奨学金を借りるメリット・デメリット
奨学金を借りることができれば、手持ちの資金が少なくても希望する進路に進むことができる点はメリットと言えますが、借りたものは必ず返さなければならないということは念頭に置いておくべきだと思います。
音楽大学に進学するということは、卒業後も何かした音楽の仕事につきたいと考えているのだと思います。しかし、音楽関連の仕事は総じてお給料が低いです。たとえば、卒業後に楽器講師として働きだした場合、月収は10万円程度です。これでは、奨学金の返済をしながら自立した生活を送るのは不可能です。
そのため、何も考えずに30代まではアルバイトをしながら演奏活動を続けて、30代に入った途端にアルバイトの求人が極端に減り生活に行き詰る人も後を絶たないのです。
先々の事を考えている人でも、奨学金の返済を考えて最終的には一般企業への就職を選択する人が多いのが現状です。
音楽大学入学はゴールではありません。奨学金を借りることで、返済のためにその後の選択肢は狭まってしまうことはデメリットと言えます。
まとめ
音楽大学に進学するためには独学ではまず合格はしません。受験するまでにも膨大な費用がかかります。藝大や桐朋などを目指す人は幼少の頃から、その大学の先生に師事してレッスンを受けていきます。
また、音楽大学に入学することは、演奏家や楽器講師、音楽の先生など、卒業後、社会人としての自立に向けた訓練期間です。プロになれる人はほんの一握りで、いつかは音楽を辞めなければいけない時が来る人が大半です。プロになりたければ生活の全てを音楽に注げという先生も多くいらっしゃいますが、アルバイトなどをして社会経験を積んでリスクヘッジをすることも大切です。
もし、お子さんが音楽大学を目指したいと言い